こころ

 すきだ、と思ったその時に、その瞬間の気持ちを新鮮なまま、大切にどこかにしまっておきたい。

 ときめきを感じたその胸の高鳴りだったり、きゅっと締め付けられるような感じだったり、でも、その締め付けがどこか心地いいような、落ち着かないような。

そんな、どんな言葉でも明確に言い表すことができないような、そんな感情を、思い出してぎゅっと抱きしめて眠りたくなる日がある。

自分自身、こころの形が見えるわけではないのだから、頭で考えていることと、心で感じていることが同じかどうかもわからないときもある。自分でさえそうなのだから、どれだけだいすきな人であっても、だいすきな人が、同じように自分のことを大好きでいてくれているのかなんて、わからないし。

そんな時、どうしようもなく不安になってしまうのは、本当にどうしようもない。

だから、以前感じた自分のときめきをだきしめてねむりたい。

今までにもらったうれしいこと、たのしいことを全部、大切に、新鮮に、しまっておきたい。

どうしようもなく不安なときは、自分が感じた確かな気持ちを、ぎゅっとして、安心したいのだ。