矛盾

 

 

 特別な存在になりたい。

 

 でも、そう思うのと同時に、誰とも異ならない、普通でありたい、とも思う。

 

 あたしの感情はひどく矛盾している。

 

 飛びぬけた容姿も、技術も、才能も、何も持っていないけれど、どこにでもいる、平々凡々な人間だけど、それは普通でありたい心にとっては良い現状のはずなのに、この現状を抜け出したい自分がいる。

 

 でも、自分がどこにでもいる普通の人間であると思う時もあれば、周囲の人間と比べてものすごく劣っているようにも感じる。

周りと比べて劣っているということは、標準に達していないということで、普通ではないのだ。異端でありたいわけじゃない。普通になりたい。